日本の高校で鍛錬した英語の4技能の目的は?
- FSI

- 7月1日
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多くの生徒は「英語の4技能の総仕上げのために英語圏の大学への留学を決意した」と話します。確かに、英語圏の大学に入れば、特に「聞く」と「読む」力が大きく伸びます。日本で学んだ何十倍もの英語の文章やフレーズに触れ、課題も増えます。真剣に取り組めば、これまで経験したことのない量の英語をこなし、自信がつきます。
しかし重要なのは、4技能を鍛える「目的」です。あなたは日本の高校で、4技能の鍛錬を通してこの目的を考えましたか?卒業後の目標も考えましたか?この質問に明確に答えられる生徒はほとんどいません。
実際、日本の多くの高校では以下のようなことをしています。
Oral Communications — 日本語ではなく英語で考える訓練
Immersion Class — ネイティブ教師が「化学」「世界史」「数学I」などを英語で教える授業
オンラインでネイティブ講師との英会話訓練
British HillsやTokyo Global Gatewayなど日本の英語訓練施設での学習
日本の多くの生徒がこれらの授業に参加しています。では、これらの経験は4技能を鍛える目標に対してどんな成果をもたらしたのでしょうか?意見を述べる生徒はほとんどいません。
その一方で、日本の高校卒業後に英語圏の大学留学を選んだ生徒も多くいます。例えば、アメリカ・カリフォルニア州立大学に進学したA君から、9月初めにメールが届きました。その内容は以下の通りです。
Anthropology 人類学の講義の教室の前で見た光景
授業が始まる5分前、私は初めての「文化人類学」の教室に入りました。日本の大学なら、初回の授業はシラバスの説明などが一般的で、静かなものだと予想していました。ところが、教室の中からすでに話し声が聞こえてきました。
話題は、「どの地域の先住民が最も狩猟技術に優れていたか」というものでした。学生たちは、アメリカ大陸の先住民(Indigenous Peoples)というグループと、ユーラシア大陸の先住民というグループに分かれ、熱心に意見を交わしていたのです。
やがて教授が教室に入ってきて、何も言わず学生たちの議論に耳を傾けていました。そして議論が一段落したとき、教授は私に突然こう言いました。「君はどう思う?」。あまりにも予想外で、私は反射的に「Well, I have no idea yet. Could you give me more time?」と答えるのがやっとでした。
教授も、他の学生たちも、私が意見を述べることを期待していたようです。しかし、私は自分の考えをまとめきれず、言葉を発することができませんでした。
この経験を通じて、私は、日本人にありがちな「授業中の討論に入りづらい消極的な姿勢」が、自分の中にも深く根付いていたことに気づかされました。
英語圏で育った学生と日本で育った自分との違い
英語圏の国々では、まず自分の意見を自分の言葉で直接主張し、その言葉で相手を説得しようとします。人や社会に対しても、直接説得しようとする姿勢が基本です。
特に秋の新学期が始まる緊張する時期でも、彼らは周りの空気を読みすぎず、自分の考えを積極的に伝えようとします。みんなの前で良く見られたいという気持ちもあり、自分の意見をはっきりと主張するのです。このような姿勢は、日常生活でも人や社会に対して変わりません。自分の言葉でしっかり説得しようとするのが、英語圏で育った学生の基本的な考え方です。
私は日本で育ったため、こうした光景を目にしたことがありませんでした。そのため、留学先の教室で始まる前から学生たちが活発に意見を交わし合う騒々しい様子に、とても驚きました。
文化人類学の授業はそのまま活発な討論で始まり、私の予想は見事に外れたのです。
それからの私 二つの心がけ
それからの私は、どの授業でも次の二つのことを心がけました。
ひとつは、その日の授業の話題を予習し、教室にいる現地の学生に「Hi there. Can I ask you about today’s topic?」と声をかけて、その日の内容について話し合うことです。英語の語彙が十分でないため、見当違いなことを言ったり、言葉を探すこともありましたが、少なくとも相手は嫌がっていないと感じました。
もうひとつは、授業で自分の意見を言うとき(必ず一回は意見を述べると決めていました)、できるだけ言葉をつなげて発言を引き延ばすことです。これも語彙不足でいつも冷や汗ものですが、担当教官や他の学生が適切な言葉を補ってくれるので助かりました。
「周りの空気を読まない現地の学生たち」との意見交換を通じて、「周りの空気を読みすぎる私」の姿勢は徐々に消えていきました。
これから英語圏の大学へ留学を考えている皆さん、現地の授業の雰囲気に驚かないでください。私の経験が参考になれば幸いです。




